定年世代が知っておきたい!医療保険の入院日数・先進医療など給付内容の賢い選び方
定年退職を迎えると、生活スタイルや将来への備えについて考える機会が増えることと思います。特に、病気やケガへの備えである医療保険について、どのように考えたら良いか悩まれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
公的な医療保険制度はありますが、民間の医療保険は、公的医療保険ではカバーできない自己負担分や、入院中の諸費用などに備えるための大切な手段となります。
この記事では、定年世代の方が医療保険を検討・見直す際に、特にチェックしておきたい給付内容や期間について、分かりやすく解説いたします。賢い医療保険選びの参考にしていただければ幸いです。
公的医療保険の役割と民間の医療保険で備えること
まず、日本の公的医療保険制度について確認しましょう。皆さんが加入している健康保険や後期高齢者医療制度は、医療費の自己負担割合を原則3割(75歳以上は特例措置を除き2割または1割)に抑えてくれる大切な制度です。さらに、高額療養費制度を使えば、ひと月の医療費の自己負担額が一定の上限を超えた分は払い戻されます。
このように手厚い公的制度がありますが、民間の医療保険も検討されるのは、主に以下のような理由が考えられます。
- 自己負担分: 公的医療保険の自己負担割合(1~3割)の支払いに備える
- 差額ベッド代: 個室などを希望した場合にかかる費用
- 入院中の諸費用: 食事代の一部、日用品、交通費など
- 先進医療にかかる技術料: 公的医療保険の対象外となる先進的な医療技術を受けた場合の費用
民間の医療保険は、これらの費用負担を軽減するために役立ちます。
医療保険の主な給付内容を知っておきましょう
医療保険には様々な種類がありますが、基本的な給付内容には共通するものが多いです。主な給付内容とそのポイントを見ていきましょう。
- 入院給付金: 病気やケガで入院した際に、入院日数に応じて支払われる給付金です。一日あたり〇〇円という形で設定します。
- 手術給付金: 病気やケガで手術を受けた際に支払われる給付金です。手術の種類によって金額が異なったり、入院を伴う手術のみが対象となる場合など、条件は保険商品によって異なります。
- 通院給付金: 退院後などに通院した場合に支払われる給付金です。最近は入院日数が短期化する傾向にあるため、通院での治療に備える目的で検討される方もいます。
- 先進医療特約: 厚生労働大臣が定める「先進医療」を受けた際にかかる技術料を保障する特約です。先進医療の技術料は高額になる場合があるため、この特約を付ける方が増えています。
- 死亡給付金・高度障害給付金: 医療保険でありながら、死亡時や高度障害状態になった場合に一時金が支払われるものもあります。
これらの給付内容の中から、ご自身の状況や考えに合わせて必要なものを選んで組み合わせるのが、医療保険選びの基本です。
定年世代が医療保険選びで特にチェックすべきポイント
それでは、定年世代の方が医療保険を選ぶ際に、特に注意して確認しておきたいポイントをいくつかご紹介します。
入院給付金の日数制限
入院給付金には、「1回の入院につき〇〇日まで」「通算〇〇日まで」という形で、支払い対象となる日数に上限が設けられているのが一般的です。
- 長期入院への備え: 若い頃に加入した保険は、入院日数の上限が短く設定されている場合があります。近年は医療技術の進歩により入院日数は全体的に短縮傾向にありますが、病気によっては長期入院が必要になることもあります。ご自身の健康状態や不安に応じて、必要な日数上限が確保できるか確認しましょう。最近は入院日数無制限の保険商品もあります。
- 過去の病歴: 過去に大きな病気をされた経験がある方は、再度入院が必要になった場合に備え、通算の支払い限度日数も確認しておくと安心です。
先進医療特約の必要性
先進医療は、将来的に公的医療保険の対象となる可能性もありますが、現時点では保険適用外であり、技術料は全額自己負担となります。中には数百万円といった高額な費用がかかる先進医療もあります。
先進医療特約は、この高額な技術料に備えるためのものです。保険料は比較的安価な場合が多いですが、保障される金額に上限があったり、特定の医療機関で受けた場合のみ対象となるなど、細かな条件がありますので、内容をよく確認することが大切です。ご自身が先進医療を受ける可能性についてどう考えるか、家族と相談しながら検討すると良いでしょう。
手術給付金の対象範囲
手術給付金は、手術の種類によって給付金額が異なる場合があります。また、公的医療保険制度における医科診療報酬点数表に記載された手術のみを対象とするもの、あるいは約款で定められた特定の手術を対象とするものなど、保険商品によって対象範囲が異なります。ご自身が過去にかかった病気や、将来的にかかる可能性のある病気に関連する手術がカバーされているかなど、気になる点があれば確認しておきましょう。
保険料と保障内容のバランス
定年後は収入が年金中心となるなど、現役時代と比べて使えるお金が変わってくる方が多いです。保険料の支払いが負担になりすぎないよう、必要な保障内容と保険料のバランスを考えることが重要です。
- 保険料払込期間: 生涯にわたって保険料を払い続けるタイプと、〇〇歳までなど、一定期間で払い込みを終えるタイプがあります。定年後の保険料負担を抑えたい場合は、現役時代に払い込みを終えるタイプを検討するのも一つの方法です。
- 保障内容の絞り込み: あれもこれもと手厚く備えようとすると、保険料が高額になります。公的医療保険でカバーできる部分や、ご自身の貯蓄で対応できる範囲を考慮し、本当に民間の医療保険で備えたい部分(例えば高額な先進医療や、長期入院の可能性など)に絞って保障を選ぶことで、保険料を抑えることができます。
まとめ:賢い医療保険選びのヒント
定年後の医療保険選びでは、以下の点を意識して検討を進めてみてください。
- 公的医療保険と高額療養費制度を理解する: まずは公的な保障でどこまでカバーされるかを知ることが、民間の医療保険で備えるべき範囲を考える第一歩です。
- ご自身の健康状態と将来への不安を整理する: 過去の病歴や、将来的に気になる病気などがあれば、それを踏まえてどんな保障が必要か考えましょう。
- 主な給付内容(入院日数、先進医療など)の条件を比較する: 気になる保険商品のパンフレットや設計書で、特に給付条件や支払限度をよく確認しましょう。
- 保険料が無理なく支払えるか確認する: 毎月の保険料が、老後の生活設計の中で無理のない負担であるか、慎重に判断しましょう。
医療保険は、万が一の際の経済的な不安を和らげてくれる心強い備えとなり得ます。この記事でご紹介したポイントを参考に、ご自身に合った医療保険を賢く選んでいただければ幸いです。