定年後に確認したい保険証券のポイント ~今の保障は自分に必要か~
定年後の生活、保険証券で今の備えを確認しましょう
定年退職を迎え、これからの生活について考える時間が増えた方もいらっしゃるでしょう。健康やこれからの生活資金、ご家族のことなど、様々な心配事があるかもしれません。
これまで加入してきた保険が、今の自分やご家族の状況に合っているか確認することは、今後の生活設計を考える上で非常に大切です。しかし、保険証券を見ても、専門用語が多くて内容がよく分からないと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、お手元の保険証券のどこを見れば良いのか、そして定年後の生活においてどのような点に注目して保険の保障内容を確認すべきかを、分かりやすく解説します。今の保険が本当に自分に必要か判断するためのヒントとして、ぜひお役立てください。
お手元の保険証券、まずはここを確認しましょう
保険証券は、ご自身が加入している保険の契約内容が記載された大切な書類です。どこに何が書いてあるかを知っておくだけでも、保険への理解が深まります。一般的に、以下のような項目が記載されています。
- 契約者:保険会社と契約を結んだ人のお名前です。
- 被保険者(ひほけんしゃ):保障の対象となっている人のお名前です。(多くの場合、契約者と同一人物ですが、そうでない場合もあります)
- 保険期間:保障が続く期間です。いつからいつまで保障されるかが分かります。
- 保険料:保険会社に支払う金額です。月払い、年払いなど支払い方法も確認できます。
- 保険金額(ほけんきんがく):保険事故(病気、死亡、介護状態など)が発生した際に、保険会社から支払われる金額です。死亡保険金、入院給付金などがこれにあたります。
- 保障内容・特約(とくやく):基本となる保障に加え、どのような保障がプラスされているかが記載されています。例えば、入院特約、手術特約、先進医療特約、介護特約などがあります。
- 解約返戻金(かいやくへんれいきん):保険を途中で解約した場合に、契約者に戻ってくるお金です。保険の種類や加入時期によって有無や金額は異なります。
これらの基本的な項目を確認することから始めましょう。
定年後の生活に合わせてチェックしたい保障内容のポイント
定年後の生活では、現役時代とは異なるリスクに備える必要が出てくることがあります。特に、以下の保障について、今の自分に本当に必要か、保障額は適切かなどを考えてみましょう。
1. 医療保障
入院や手術に対する備えです。日本の公的医療保険制度(健康保険や後期高齢者医療制度)は非常に手厚いですが、それでも自己負担分や差額ベッド代、先進医療費、入院中の食費など、費用がかかる場合があります。
- 入院給付金は1日あたりいくらか、何日まで保障されるか
- 手術給付金の対象となる手術の範囲や金額
- 先進医療を受けた場合の保障はあるか
といった点を保険証券で確認し、公的医療制度でカバーできない部分にどのくらい備えたいかを考えましょう。
2. 介護保障
将来、介護が必要になった場合の備えです。公的介護保険制度がありますが、施設費用や在宅介護サービスの自己負担分、介護用品など、公的制度だけでは賄えない費用が発生する可能性があります。
- どのような状態になったら(公的介護保険の要介護認定など)給付金が支払われるか
- 一時金で受け取れるのか、年金形式で受け取れるのか
- 受け取れる金額はいくらか
などを確認し、ご自身の貯蓄なども考慮して、どのくらい民間の介護保険で備えたいかを検討します。
3. 死亡保障
ご自身が亡くなった際に、ご家族に残す保険金です。定年後、お子様が独立していたり、配偶者の方も十分な貯蓄や年金収入があったりする場合など、現役時代に比べて必要な死亡保障額が変わることがあります。
- 死亡保険金の金額はいくらか
- 保障はいつまで続く終身保険か、期間が決まっている定期保険か
- 受け取り人は誰になっているか
などを確認し、もしもの時に残されるご家族に必要な金額はいくらかを考え直してみましょう。
4. 解約返戻金の有無と金額
加入している保険に解約返戻金がある場合、その金額も確認しておきましょう。解約返戻金は、老後の生活資金の一部として活用できる可能性があります。ただし、多くの場合、途中で解約すると支払った保険料の総額よりも解約返戻金が少なくなる(元本割れする)ことがある点には注意が必要です。
今の保障が自分に必要か判断するための考え方
保険証券で保障内容を確認したら、それが今の自分に本当に必要かを判断します。判断のヒントとなる考え方をいくつかご紹介します。
- ご自身のライフプランと照らし合わせる:今後どのような生活を送りたいか、どのようなイベントが予想されるか(例:リフォーム、旅行、資産継承など)を考慮します。
- ご自身の貯蓄状況や年金収入を確認する:十分な貯蓄や安定した年金収入があれば、必ずしも保険で全てを賄う必要はないかもしれません。公的な医療保険や介護保険でカバーされる範囲も考慮に入れます。
- ご家族の状況を考慮する:配偶者や独立したお子様の経済状況、同居の有無などを踏まえ、もしもの時にご家族にどのくらいの経済的負担がかかるかを考えます。
- 保険料の負担を確認する:保険料の支払いが、現在の生活費を圧迫していないか確認します。必要な保障であっても、保険料が高すぎると家計の負担になります。
これらの点を踏まえ、保障内容、保険金額、保険期間などが、今の自分にとって適切か、あるいは過不足がないかを冷静に判断することが大切です。
まとめ:定期的な確認が安心につながります
保険は一度加入したら終わりではなく、ご自身の状況やライフステージの変化に合わせて定期的に見直すことが大切です。特に定年後は、必要な保障が変わることが多い時期です。
お手元の保険証券を確認することは、今の自分の備えを知る第一歩となります。もし保険証券が見当たらない場合は、加入している保険会社に問い合わせてみましょう。
保障内容が難しく感じる場合は、ご自身だけで判断しようとせず、保険会社の窓口や保険の相談サービスなどを活用するのも一つの方法です。ただし、特定の保険商品を勧められる場合もあるため、複数の情報を参考にしたり、中立的な立場のアドバイスを求めたりすることが望ましいでしょう。
ご自身の保険を理解し、今の自分に合った備えができているかを確認することは、定年後の安心につながります。ぜひこの機会に、お手元の保険証券を確認してみてください。