老後に貯蓄型保険が満期を迎えたらどうする? 知っておきたい選択肢と注意点
はじめに:満期を迎える貯蓄型保険について
定年退職を迎え、老後の生活設計について考えていらっしゃる方も多いことでしょう。長年積み立ててきた貯蓄型保険が、ちょうどこの時期に満期を迎えるというケースも少なくありません。
貯蓄型保険とは、万が一の場合の保障に加えて、満期時には一時金や年金としてお金を受け取れるタイプの保険を指します。代表的なものに「養老保険」や、特定の条件を満たすと払い込んだ保険料以上の解約返戻金や満期保険金が期待できる「終身保険」などがあります。
満期金を受け取ることは、これまでの保険契約が一つの区切りを迎える大切な機会です。同時に、受け取ったお金をどのように活用するか、今後の生活資金や備えについて改めて考える良い機会でもあります。
ここでは、貯蓄型保険が満期を迎えた際に考えられる主な選択肢と、それぞれの選択肢を選ぶにあたって知っておきたい注意点について分かりやすくご説明します。
貯蓄型保険が満期を迎えたときの主な選択肢
貯蓄型保険が満期を迎えた際には、主に以下の3つの選択肢が考えられます。ご自身の状況や今後の計画に合わせて、どの方法が最適か検討してみましょう。
選択肢1:満期保険金として一括で受け取る
満期になった保険金を、まとまった金額として一度に受け取る方法です。
メリット: * すぐにまとまった資金を手にすることができるため、大きな支出(住宅のリフォーム費用、旅行資金、子や孫への贈与など)に充てやすいです。 * 受け取った後の資金の使い道を自由に決められます。
注意点: * 受け取った満期保険金には、税金がかかる場合があります。一般的に「一時所得」として所得税・住民税の対象となります。ただし、保険料を負担した期間が5年を超えているなどの要件を満たせば、特別控除が適用されることがあります。詳しい税金の計算方法や控除については、税務署や税理士に確認することをおすすめします。 * まとまった金額を一度に受け取ると、計画的に使わないと早くに使い切ってしまう可能性があります。
選択肢2:据え置いておく、または年金として受け取る
保険会社によっては、満期保険金をすぐに受け取らずに、保険会社にそのまま預けておく「据え置き」を選択できる場合があります。また、最初から満期保険金を一時金としてではなく、一定期間や一生涯にわたって「年金」として受け取れる契約もあります(年金移行特約など)。
メリット: * 据え置きの場合: すぐに使う予定がない場合、お金を保険会社に預けておくことで、わずかですが利息が付くことがあります。また、必要なときに引き出すことも可能です。 * 年金として受け取る場合: まとまったお金を管理する手間が省け、定期的な収入として老後の生活費の一部に充てられます。計画的な資金管理がしやすくなります。
注意点: * 据え置きの場合: 据え置き期間中に保険会社が破綻した場合のリスクがゼロではありません(ただし、生命保険契約者保護機構による保護の対象となります)。また、金利情勢によってはほとんど利息が付かないこともあります。 * 年金として受け取る場合: 年金として受け取る場合にも、税金がかかることがあります。受け取り方によって税金の計算方法(一時所得、雑所得など)が異なりますので、事前に確認が必要です。また、一度年金での受け取りを選択すると、後から一時金での受け取りに変更できない契約もあります。
選択肢3:保険を継続・変更する(終身保険などの場合)
養老保険は満期が来ると契約が終了しますが、終身保険のように、満期を迎えても死亡保障は継続しつつ、保険料の払い込みが終わるタイプ(有期払込)の契約もあります。この場合、満期保険金という形では受け取れませんが、そのまま保障を継続したり、払い済みの保険に変更したり、解約して解約返戻金を受け取るといった選択肢が考えられます。
メリット: * 保障を継続: 死亡保障が必要な場合は、そのまま継続することで安心を得られます。 * 払い済みに変更: 保険料の払い込みを中止し、保障額を減らして保険を継続できます。保険料負担をなくしつつ、一定の保障を残したい場合に有効です。 * 解約: 解約返戻金としてまとまったお金を受け取れます。
注意点: * 保障継続: 死亡保障は継続しますが、満期後の解約返戻金は増えない、または増え方が緩やかになることがあります。 * 払い済みに変更: 保障額は減額されます。元の保障額が必要な場合は適していません。 * 解約: 解約すると保障は完全に消滅します。また、早期に解約すると、払い込んだ保険料の総額よりも解約返戻金が少なくなる(元本割れする)可能性があります。
選択する際のポイント
どの選択肢を選ぶべきかは、ご自身の状況によって異なります。以下の点を考慮して検討することをおすすめします。
- 今後の資金計画: 満期金を受け取った後、どのような目的でその資金を使いたいか、また、今後の生活費、医療費、介護費用などにどのくらいの資金が必要か、全体的な資金計画の中で満期金をどう位置づけるか考えましょう。
- 税金の影響: 満期保険金や年金に対する税金がどのようにかかるかを確認し、手取り額を考慮に入れて判断しましょう。
- 健康状態: 万が一に備える保障が今後も必要か、現在の健康状態で新たな保険に加入できるかなども考慮材料になります。
- 家族構成や相続: 受け取った資金を家族に残したい、相続対策に充てたいなどの希望がある場合は、その方法に適した選択肢を検討します。
- 保険会社のサービス: 据え置きや年金移行の条件は保険会社によって異なります。ご契約されている保険会社のサービス内容をよく確認しましょう。
まとめ:老後の備え全体を見直す機会に
貯蓄型保険の満期は、これまでの備えが実を結ぶ喜ばしい節目であると同時に、今後の老後生活資金全体を見直すための大切な機会です。
一時金として受け取る、年金として受け取る、あるいは保険の形を変えて継続するなど、それぞれの選択肢にはメリットと注意点があります。ご自身のライフプランや資金計画に照らし合わせ、どの方法が最も安心で、目的に合っているかをじっくりと検討してください。
満期保険金の受け取り方や税金について不明な点がある場合は、ご契約の保険会社や必要に応じて税務署、税理士などの専門家に相談することも有効です。賢く選択して、安心して豊かな老後を過ごすための礎としてください。