お葬式にかかる費用、保険でどう備える?定年後の安心のために知っておきたいこと
定年後のお葬式費用、どのように備えますか
人生の節目である定年退職を迎え、これからの生活に安心を感じたいと思う一方、将来のお金のこと、特に「もしも」の際に必要となる費用について、漠然とした不安を抱える方もいらっしゃるかもしれません。その一つに、お葬式にかかる費用への備えがあります。
お葬式は、ご自身の意思を伝え、残されるご家族の負担を減らすためにも、事前に準備しておきたい大切なことの一つです。では、具体的にどのくらいの費用がかかるのでしょうか。そして、その費用に備えるために保険はどのように役立つのでしょうか。
この記事では、お葬式にかかる費用の目安と、その準備として活用できる保険の種類や、保険を選ぶ際のポイントについて、分かりやすく解説します。
お葬式にかかる費用の目安を知る
お葬式にかかる費用は、形式や規模、地域によって大きく異なります。一般的に、葬儀の本体費用(会場使用料、祭壇、棺、人件費など)、飲食接待費用(通夜振る舞い、精進落としなど)、お布施などの寺院費用に分けられます。
様々な調査結果がありますが、例えば公益財団法人日本消費者協会が実施した「第15回葬儀についてのアンケート調査報告書(2020年)」によると、お葬式にかかる費用の全国平均は約184万円(※)でした。これはあくまで平均であり、家族葬や直葬といった小規模な形式を選べば費用を抑えることも可能です。
(※この金額は、葬儀本体費用、飲食費、寺院費用の合計であり、地域や形式により変動します。最新の情報や詳細については、関連団体の公式発表などをご確認ください。)
この金額をすべて預貯金から捻出することも可能ですが、まとまった金額が必要となるため、他の老後資金への影響が気になる場合もあるでしょう。そこで、保険を活用して計画的に備える方法が考えられます。
お葬式費用に保険で備えることのメリット
お葬式費用を保険で備えることには、いくつかのメリットがあります。
- 確実にまとまった金額を残せる 生命保険の死亡保険金は、被保険者の方が亡くなった際に保険金受取人に支払われます。お葬式費用の準備として保険に加入しておけば、必要な時期にまとまった金額が確実に受け取れるため、ご家族が費用面で慌てることなく、落ち着いて故人を見送る準備を進めることができます。
- ご自身の意思を反映しやすい 事前に保険で備えておくことで、「この保険金はお葬式に使ってほしい」といったご自身の意向をご家族に伝えやすくなります。
- 計画的に準備できる 毎月または毎年の保険料を支払うことで、計画的に費用を準備することができます。預貯金の場合、つい他の用途に使ってしまうという心配がある方も、保険であれば目的をもって備えられます。
お葬式費用のための保険の種類
お葬式費用に備えるために活用できる保険はいくつかありますが、代表的なものとして「終身保険」や「少額短期保険」があります。
終身保険
終身保険は、保障が一生涯続く死亡保険です。保険期間が決まっている定期保険とは異なり、加入している限り、いつ亡くなっても死亡保険金が支払われます。
- 特徴:
- 保障が一生涯続きます。
- 保険料の払い込みが終わった後も保障は続きます。
- 貯蓄機能があるタイプが多く、解約した場合に解約返戻金が受け取れることがあります(ただし、払込期間中に解約すると、支払った保険料の合計額を下回ることがあります)。
- お葬式費用への備えとしての考え方: 契約時に設定した死亡保険金をお葬式費用に充てることができます。保険金受取人をご家族に指定しておくことで、ご逝去後に保険金を受け取り、費用に充当してもらうことが可能です。
少額短期保険
少額短期保険は、その名の通り、保険金額が少額で保険期間が短い保険です。主に、葬儀費用保険や医療保険など、特定の目的に特化した商品が多くあります。
- 特徴:
- 保険金額に上限(死亡保険金は300万円までなど)があります。
- 保険期間に上限(2年以内)があります。
- 比較的加入しやすい商品が多く、健康状態に関する告知が少なかったり、簡単な場合もあります。
- お葬式費用への備えとしての考え方: 葬儀費用保険として設計されている商品が多く、文字通りお葬式にかかる費用に特化して備えたい場合に適しています。保険金額が300万円以内など、お葬式費用の目安に合わせた金額で加入できる商品が多くあります。
どちらの保険も、お葬式費用に備える目的で活用できますが、保障期間、保険金額の上限、保険料、加入のしやすさなどが異なります。ご自身の健康状態や、いくら備えたいかによって、適した保険は変わってきます。
お葬式費用のための保険を選ぶ際のポイント
保険を選ぶ際には、いくつかのポイントを考慮することが大切です。
- 備えたい金額を決める まずは、お葬式にどのくらいの費用をかけたいか、ご自身の希望やご家族との話し合いを通じて目安を立てましょう。その金額を参考に、保険金額を設定します。
- 保険料と払込期間を確認する 無理なく払い続けられる保険料であるかを確認しましょう。終身保険であれば、保険料の払込期間(一生涯払い続けるか、一定期間で払い込みを終えるかなど)も重要な選択肢となります。
- 健康状態の告知について確認する 保険に加入する際には、現在の健康状態や病歴などを保険会社に告知する必要があります。持病がある場合でも加入しやすい保険もありますが、保険料が割増しされたり、保障に条件が付いたりすることがあります。少額短期保険の中には、告知項目が少ない商品もありますので、ご自身の健康状態に合わせて確認することが重要です。
- 解約返戻金の有無を確認する 終身保険には解約返戻金があるタイプが多いですが、少額短期保険には解約返戻金がない、またはごく少ないタイプがほとんどです。途中で解約する可能性があるかどうかも考慮に入れましょう。
まとめ:賢く備えて、老後の安心につなげましょう
定年後の生活は、これまでとは異なるライフスタイルになることが多いものです。お葬式にかかる費用への備えは、ご自身の「もしも」の際に、残されるご家族の負担を経済的にも精神的にも軽減するための大切な準備の一つです。
終身保険や少額短期保険など、保険を活用することで、計画的に、そして確実にまとまった金額を備えることが可能です。ご自身の健康状態や希望する備えたい金額に合わせて、どのような保険が適しているかを検討してみてください。
保険選びに迷う場合は、保険の専門家などに相談してみることも有効です。複数の選択肢を比較検討し、ご自身にとって最も安心できる備えを見つけることで、老後の生活をより心穏やかに過ごすことができるでしょう。