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保険の「契約転換」を分かりやすく解説 ~定年後の保険見直しで知っておきたいこと~

Tags: 保険見直し, 契約転換, 定年後, 保険契約, 注意点

はじめに:保険契約の転換とは

定年退職を迎え、これからの生活設計に合わせて保険を見直したいとお考えの方もいらっしゃると思います。保険を見直す方法にはいくつか選択肢がありますが、その一つに「保険契約の転換(てんかん)」と呼ばれるものがあります。

「契約転換」とは、現在加入している保険契約を一度解約したとみなし、その解約返戻金などを新しい保険契約の保険料の一部(「転換価格」と呼びます)に充当して、新しい保険に加入し直す仕組みです。例えるなら、古い車を下取りに出して、その分を新しい車の購入資金に充てるようなイメージに近いかもしれません。

この仕組みを利用することで、現在加入している保険の積立部分などを活かしながら、新しい保障内容の保険に切り替えることができます。しかし、仕組みをよく理解せずに安易に転換を選ぶと、かえってご自身の状況に合わない結果になってしまうこともあります。ここでは、定年世代の方が保険契約の転換を検討する際に知っておきたいポイントを分かりやすく解説します。

保険契約の転換の仕組み

保険契約の転換は、以下の流れで行われるのが一般的です。

  1. 現在の保険契約の確認: 現在加入している保険の保障内容、保険料、保険期間、払込期間、そして解約返戻金や積立配当金などがどのくらいあるかを確認します。
  2. 新しい保険契約の設計: 新しい保険でどのような保障が必要か、保険期間や保険料の払込期間はどうするかなどを決め、保険会社に新しい契約プランを設計してもらいます。
  3. 転換価格の計算と充当: 現在の保険契約の解約返戻金や積立配当金などが「転換価格」として計算されます。この転換価格を、新しく加入する保険契約の保険料の一部として充当します。
  4. 新しい保険契約の締結: 転換価格を充当した上で、新しい保険契約を締結します。この際、原則として健康状態の告知や診査が必要になります。

重要なのは、転換はあくまで「新しい保険契約に加入し直す」ということです。そのため、新しい契約の保険料は、その時点の年齢や健康状態に基づいて再計算されます。また、保障内容や保険期間なども新しく設定し直すことになります。

保険契約の転換のメリット

保険契約の転換には、いくつかのメリットが考えられます。

保険契約の転換のデメリット・注意点

メリットがある一方で、保険契約の転換には特に注意が必要なデメリットや落とし穴が潜んでいます。定年世代の方が検討する際は、以下の点に十分な注意が必要です。

転換以外の見直し方法との比較

保険の見直し方法として、契約転換以外にも以下のような選択肢があります。

これらの方法と契約転換を比較し、ご自身の目的や状況に最も合った選択をすることが大切です。特に、保険料負担を減らしたいという目的であれば、減額や払い済み保険の方が適している場合もあります。

まとめ:賢い選択のために

保険契約の転換は、古い契約の積立部分を活かしつつ、新しい保障内容に切り替えられる仕組みです。しかし、特に定年世代の方が転換を検討する際は、転換後の保険料が大幅に高くなる、健康状態によっては加入できない、免責期間が再度適用されるなど、注意すべき点が非常に多くあります。

安易に「積立を活かせるから」「担当者から勧められたから」といった理由だけで転換を選ぶのではなく、転換後の保障内容と保険料が本当にご自身のニーズに合っているのか、現在の保険を継続した場合や、減額、払い済み、解約といった他の方法と比較して、ご自身にとって最も有利な選択肢は何なのかを、時間をかけて慎重に検討することが非常に重要です。

ご自身で判断が難しい場合は、保険会社の担当者だけでなく、特定の保険会社に偏らない独立したファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談してみることも有効な手段です。保険は一度契約すると長く付き合うものですから、後悔のないように、仕組みをよく理解し、ご自身の目でしっかりと確かめて賢い選択をしてください。